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    March 03

    Marantz 10B

    <オークション:220085598785 Marantz 10B FM Vacuum Tube Tuner w/Cabinet Excel !!! Ends Mar-03-07 19:00 PST>
     
    ●イーベイUSにてあのMarantzの#10Bを見つけました、1963年発表なので実に45年前の製品です、動いているのが不思議なほどの骨董ですね。設計はあの天才エンジニア、リチャード・セクエラの手によるもので、名器#7、#8、#9に続いて発表する予定でしたが、開発がかなり遅れて1961年のFM放送開始には間に合いませんでした。1964年にやっと量産を開始しましたが、こんどは開発費がかさみマランツ社はスーパースコープ社に売却されるはめになってしまって、セクエラは1967年に退任してしまいますが、後にSEQUERAブランドで超弩級チューナModel1を発表することになります(スーパースコープ社の工場が日本にあってスタンダード工業っていう会社でこれが後に日本マランツとなります)。チューニングメーターの代わりにオシロスコープを搭載するアイデアは非常に斬新で、他社でこの技術を量産機種に活かした製品は未だありません。直線が表示され、画面真ん中に合わせるようにするチューニングメータとしての動き、マルチパスモニタ、受信音楽にあわせたイメージ画像など多彩な機能を搭載しております。凄いのですが、、、明らかに過剰スペックなように思いますねぇ。
     
    ●FMチューナとなるとどうしても米国発明家ラッシュとなってしまいます。まずは、発明家アームストロング(1890~1954)で、1918年にスーパーヘテロダイン方式、1921年にFM放送方式を発明しました、続いて、GE社のシクサトカ(ハンガリー人)が1960年にモノラルとステレオを両立できるFM送信方式を発明しました。これが、現在のゼニス/GE方式と呼ばれるもので1961年にFCCが採用したことで世界標準となりました。FM放送は米国で1961年から開始しましたが、日本では1960年から米クロスビー方式を採用していたため、米国に2年遅れて1963年からゼニス/GE方式に切り替わりました、FM放送の歴史は古いですね。多数の発明の中でもスーパーヘテロダイン方式の発明は電波放送を実用化させる最も重要な発明と言えます。世の中に一局しかなければ不要な発明ですが、いろんな放送局の周波数を受信するとなると、検波回路で混信が避けられません。検波回路で全ての周波数に対応したフィルタを作るのは調整、価格を考えると不可能となります。スーパーヘテロダイン方式は、チューナ内部で受信波より10.7MHzずれた高周波を局部発信させ、ミックスさせて差分を取り出します、つまりいつも10.7MHzのIF(中間周波数)となって、これを検波するだけでよくなったので、安価で急峻なフィルタ回路を使うことが可能となったのです。IFは10.7MHzでなくても、各メーカが勝手にやれば良いことで、モノラル放送時代には色々な中間周波数がありましたが、さすがは米国スタンダード、FMについては10.7MHzをデファクトとし、各社が同一の目標で開発に入ることで短期間で素晴らしい開発成果を得ることができ、結果としてFMのマーケットが確立して今日に至っています。日本人が標準化したらきっと各社でIFは異なっていたでしょう。

    ●いろんな方の#10Bの印象を見ますと、マランツの音そのもの、CD嫌いでも#10BでのCD放送は素晴らしい、音場に奥行き感が加わり生き生きとした躍動感がある、などやはり絶賛に値するようです。中でもバロックが楽しみをされている方もいらして、バッハファンの私には興味をそそられる逸品です。回路図を見ると実に21本の真空管とスコープ管が配置されていて圧巻です、部品は交換が必要ですが、オリジナルから取り替えてしまうと、マランツの音ではなくなってしまって価値がないのだそうです。

    ●開始価格が$20でしたが当然これで済むはずはなく、現在$1575(\約20万)となっています。そもそも#9が1台$350位だった時代に$650で売っていたのだから、最初から極めて高価なチューナでした。極めて年代ものなので、程度が良いものだと\40万が相場、\20万で即買いと勝手に値付け。適当に修理が施されたものでは10Bの本当の音は出ないらしいです、今回は状態もよいようなので、大変お買い得価格になっています、、、、ということは、もっともっと値上がりするのかな。